はじめに:すぐに儲けたい人へ、バフェットはこう言うだろう
「7フィートの鉄棒を飛び越えようとするのではなく、1フィートの鉄棒を踏み越えられるかどうかを探し回るのだ。」
これはウォーレン・バフェットが残した有名な言葉だ。投資と聞くと、どうしても“難しそう”“瞬間的な判断が求められる”といったイメージを抱きがちだが、彼の哲学はむしろその逆を貫く。
バフェットの投資戦略をひと言で表すならば、それは「信頼できるビジネスを、適正な価格で買い、長く持ち続けること」だ。
この記事では、バフェットが長年にわたり実践してきたこの哲学の“なぜ”を、行動ファイナンスの研究と合わせて紐解いていく。

今回はバフェットの投資哲学を研究した論文と、Kindle本「ウォーレンバフェット流の投資」の2本から、バフェット投資の本質について深掘りしていくよ!
数字も見る。でも、数字だけは見ない。
バフェットは決して直感だけで投資判断をしているわけではない。
彼は極めて数字に強く、財務諸表を精査する“定量的な視点”も妥協しない。
たとえば、彼が“優れたビジネス”と判断する企業には、次のような定量的条件がある:
- ROE(自己資本利益率)20%以上
- ROA(総資本利益率)15%以上
- 4年以内の純利益で長期債務を返済可能
- 配当や自社株買いなど、資本配分が株主に対して誠実
- 収益がスムーズに上昇し続けていること
これだけを見ると、彼はむしろ数字重視に見えるかもしれない。
だが、バフェットは常に「数字の背後にあるビジネスの本質」を見ている。

財務指標からも明確な数字をもとに優良な企業を判断しているんだね!
“ビジネスの本質”を見る:信頼の哲学
バフェットが最も大切にしているのは、その企業が「信頼できるかどうか」である。
信頼できるビジネスには、いくつかの共通点がある:
- シンプルなビジネスモデルで、長期的な視野が描けること
- ブランド認知が高く、消費者の記憶に定着していること
- 時代の流行に左右されず、10年後も同じ製品を提供しているような事業
- 消費者が繰り返し使いたくなる仕組みがあること
- 顧客が離れず、価格を上げられる“価格決定力”を持っていること
- そして何よりも、“堀”──耐久性のある競争優位性があること
こうした条件は、財務指標と同様に信頼の証であり、数字では測りきれない“本質的な価値”を表している。

確かにこういった部分は数字では表しにくい!でもこれが信頼たるビジネスを判断するうえで非常に重要なんだね!
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なぜ他の投資家は同じように成功できないのか?
2019年に発表された学術論文『Buffett’s Alpha』は、この問いに真正面から向き合った。
著者たちは、彼の異例ともいえる投資成績を、単に数字や戦略だけで説明しきれないとしたうえで、こう問いかける:
「同じ数字を見て、同じ条件で投資しても、なぜ他の投資家はバフェットのように成功できないのか?」
その答えは、行動様式と心理的姿勢にある。

どうしてバフェットだけが成功できて、他の人は成功できないのか研究した人がいたんだね!
バフェットの強さは“人としての一貫性”にあった
論文では、バフェットの行動様式を以下のように整理している:
特性 | 内容 |
---|---|
一貫性 | 市場のノイズに左右されず、自らのルールを貫く力 |
忍耐力 | 投資機会がくるまでじっと待てる能力 |
感情コントロール | 欲や恐怖に流されず、冷静に判断できる |
サークル・オブ・コンピテンス | 自分の理解できる領域だけに集中する姿勢 |
誠実さ・評判重視 | 社会的信用を蓄積し、それが好機を引き寄せる |
これらは、どれも金融工学では測れない“人格的資質”であり、
むしろ「人として信頼される人間が、信頼できる企業に投資している」という構図すら浮かび上がる。

こういったものは、もはや”人格”や”性格”と言っても過言じゃない!
だけどむしろそれが成功にとって最も重要なのかもしれないね!
“儲かる株”ではなく、“信頼できる会社”を選ぶ
バフェットの投資は、決して「すぐに値上がりする株」を探すものではない。
むしろ、「10年後に残っている価値のある企業」を淡々と選んでいる。
彼は「悪いニュースは投資家の最良の友だ」と語る。
誰もが恐れて株を手放すときこそ、価値ある企業の“未来の一片”を安く買えるチャンスだと考えている。
これは言い換えれば、「信頼できるものが、一時的に安くなった時にこそ、買うべきだ」ということだ。

悪いニュースで一気に市場が下落している時、多くの人が恐怖や不安で株を売りに行くよね!そんな時にウォーレン・バフェットは信頼できる企業の株を買いに行くんだ!

投資とは、自分の信頼感覚を育てる旅
バフェット流の投資は、企業を見るというよりも、“自分”を見る作業に近いのかもしれない。
信頼できるビジネスを見抜くには、自分が焦っていないこと、自分の判断がブレていないことが前提となるからだ。
そしてこれは、単なる投資術ではなく、日常の人間関係やキャリア選択にも応用できる“判断の哲学”でもある。

投資というものは、自分が信じる価値を信じ続ける力なのかもしれない!
おわりに:信頼は、利益よりも長く残る
バフェットは、生涯にわたって「信頼できる企業を、信頼できる姿勢で買う」という戦略を貫いてきた。
そしてその結果、短期的な騰落に一喜一憂せず、社会的にも経済的にも“信頼の複利”を築いてきた。
数字に強くあれ。けれど数字だけを見るな。
そして、自分の目で“信じられるもの”をじっくり選び続けよう。
それこそが、バフェットの哲学であり──
たぶん、これからの時代に最も信頼できる投資のあり方なのかもしれない。

みんなも長期的な目線を持って、信頼できる企業の株を長く持ち続けよう!
読んでくれてありがとう!
参考文献
パフェット(著)『ウォーレンバフェット流の投資』 Amazon Kindle版
Otuteye, E., & Siddiquee, M. (2019). Buffett’s Alpha: Further Explanations from a Behavioral Value Investing Perspective. SSRN.
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