世界が注目する認知症予防──マルチドメイン介入が導いた「生活改善の方程式」

「高齢女性と介護士が笑顔で対話する様子の写真。テーブルにはノートとペン。中央に『世界が注目する認知症予防──マルチドメイン介入とは?』という文字が重ねられている。」 健康・病気

「脳を守るのに、たったひとつの方法では足りない」

運動していますか?
バランスの良い食事をとっていますか?
脳トレ、続けていますか?

そのすべてに「はい」と答えられるなら、あなたは認知症予防の最前線に立っているかもしれません。

なぜなら、今世界中で注目されている認知症予防法は、生活の“ひとつの要素”ではなく、“すべて”に少しずつ取り組む方法だからです。

それが「マルチドメイン介入」という考え方です。

ろん太
ろん太

世界では、「マルチドメイン介入」という考え方を基にした認知症予防法が注目されているんだ!今回はこの研究論文をもとに認知症ケアについて解説するよ!

マルチドメイン介入って何?

「マルチドメイン(multidomain)」とは、複数の生活領域にまたがるという意味。

つまりこれは、運動だけでも、食事だけでも、脳トレだけでもない。
生活すべてを整えることで、認知機能の低下を防ごうという、多要素的で統合的なアプローチです。

マルチドメイン介入の主な柱

領域具体例
🏃‍♀️ 運動ウォーキング、筋トレ、バランス運動など
🥗 栄養地中海食、魚・野菜中心、オメガ3脂肪酸
🧠 認知活動脳トレ、読書、パズル、学習
💓 血管リスク管理高血圧・糖尿病のコントロール、検査の継続
😴 睡眠良質な睡眠リズムの確保、睡眠障害の対処
👥 社会交流家族や地域とのつながり、孤立予防
🚭 習慣改善禁煙、節酒、ストレス軽減、うつ予防

このような複数の分野を“まとめて整える”のがマルチドメイン介入の本質です。

ろん太
ろん太

どれか一つを改善してもダメなんだ!”生活すべて”を改善することで認知症改善に効果があるというのがマルチドメイン介入なんだね!

科学が証明した──FINGER研究の衝撃

この考え方を世界に知らしめたのが、2015年に発表されたフィンランドのFINGER試験

高齢者1,260人を対象に2年間、以下のような介入を同時に行いました:

  • 🥗 食事:地中海食をベースにした栄養指導
  • 🏃‍♀️ 運動:週2〜3回の有酸素&筋力トレーニング
  • 🧠 認知訓練:パソコンを使った脳トレ
  • 💓 血管リスク管理:血圧や血糖を医師がチェック

結果は明確でした。

  • 判断力や計画力など「実行機能」は83%の改善差
  • 反応速度や処理速度では150%以上の改善効果
  • 脳全体のパフォーマンスも25%高く維持されたのです。
ろん太
ろん太

この成果はものすごいインパクトだったんだ!これによってFINGER試験を多くの国の機関が取り入れて、同じ取り組みを始めたんだ!

今日からできる、あなたの“FINGER式生活”

特別な器具や高額な治療は不要です。
今日から始められる、マルチドメインな暮らしのヒントを紹介します:

  • 1日30分のウォーキング
  • 魚と野菜が多めの夕食
  • 寝る前のスマホをやめて8時間睡眠
  • 脳トレアプリを週に2回
  • 家族との会話や地域活動にも一歩踏み出す

大事なのは、“ひとつ”ではなく“全部を少しずつ”やること。

ろん太
ろん太

生活のバランスを考えて少しずつ色んな事に取り組んでいく事が大事なんだ!

「FINGERモデルに基づいた生活習慣の例を図示したインフォグラフィック。運動、栄養、血管リスク管理、睡眠、認知活動、社会交流の6項目をアイコン付きで紹介。」
図:認知症予防に有効とされる“マルチドメイン介入”の具体例。運動・栄養・脳活動・血管管理・睡眠・社会交流をバランスよく取り入れる生活が脳の健康維持に効果的とされる。

まとめ:認知症は、生活で防ぐ

私たちはこれまで、「病気になったら治療する」ことばかりを考えてきました。
でも認知症に関しては、それでは遅いのです。

FINGER研究は教えてくれました。
脳は、日々の暮らしの中で守れるものだと。
しかも、無理のない範囲で、でもバランスよく

いま、あなたの生活が変われば、
10年後のあなたの脳は、今よりもっとしっかりしているかもしれません。

ろん太
ろん太

“病気になってから”ではなく、”病気になる前”に日々の生活で守れるものをバランスよく守っていこう!日々の小さな積み重ねが、10年後の自分の体を作るんだ!
読んでくれてありがとう!

出典

Tiia Ngandu et al. (2015).
A 2 year multidomain intervention… (FINGER study)
The Lancet, Vol 385, pp. 2255–63
論文PDFリンク

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