「ベンジャミン・グレアム本人執筆の論文『普通株の未来』──投資の原点から学ぶ現代の指針」

ベンジャミン・グレアムのイラストと成長するコインの山。グラフとともに「普通株の未来」のタイトル入り。 お金と人生

はじめに:伝説の投資家が「自ら書いた」肉声とは?

ウォーレン・バフェットが「生涯最も影響を受けた」と語る男、ベンジャミン・グレアム。
彼が1974年、自らの名前で執筆・発表した論文「The Future of Common Stocks(普通株の未来)」をご存知でしょうか?

これは、金融アナリストの専門誌 Financial Analysts Journal に掲載されたもので、グレアム自身の思想が最も純粋な形で語られている一次資料です。

本記事では、この歴史的文献をもとに、現代の不透明な投資環境の中で「本質的な価値とは何か」「どのように投資判断を下すべきか」を再考していきます。

ろん太
ろん太

ベンジャミン・グレアム本人執筆の論文があったなんて驚きだね!今回はこの論文をもとに解説するよ!

株式市場は「正しくない」ことがある

グレアムはまず「市場は感情に左右されすぎる」と断言します。
彼が取り上げる例は、1929年の暴落、1948年の個人投資家の不信、そして現代における「人気株の過大評価」です。

「合理的だった過去の理論を、状況が変わっても盲目的に使い続けたことが、破滅を招いた」
と彼は記します。

これは、グレアムの有名なメタファー「Mr. Market(市場という気分屋)」の思想を裏付けるものです。

株価の評価は「金利次第」で変わる

彼は、株価と金利の関係に注目します。

  • 例えば、債券利回りが8.5%の時代においては、株の「妥当なPER」は9倍程度が限界。
  • 1973年のダウ平均(DJIA)の利益86ドルに対して妥当な指数は「約775」と見積もります。

グレアムは、金利が高い局面で株を買うには、非常に慎重な割安評価が必要だと警告します。

ろん太
ろん太

株価と金利も深い関係性があるんだね!

割安株にこそ投資チャンスがある

彼は市場を3つに分類します:

Group1:成長株(PER 20倍以上) → 高すぎて投資に不適。
Group2:不人気・割安株(PER 7倍以下) → 利益利回り15%以上、実は宝の山。
Group3:中間ゾーン(PER 7〜20倍) → 明確な魅力なし。

特に、FirestoneやEmhartといった財務優良企業が帳簿価値以下で売られていた点を指摘し、「合理的に見れば割安」と断じます。

ろん太
ろん太

世間で騒がれている人気株でも高すぎると”割高”であまり美味しい投資ではないみたいだね!

「簿価」に基づくオールドスクールな投資法が今こそ蘇る

興味深いのは、グレアムが”「簿価=実質価値」の重視”を改めて提唱している点です。

  • 「帳簿価値の3分の2以下」で購入し、「帳簿価値で売却する」
  • このシンプルな戦略で「50%の利益」を目指せる

これは、現代の「バリュー株投資」の原点とも言える戦略です。

ろん太
ろん太

割安株を買って、適正株価に戻ったら売却する戦略なんだね!

成長株と「効率的市場仮説(EMH)」への明確な反論

「市場価格は正しい」という効率的市場仮説に対し、グレアムは真っ向から否定します。

「Avonの株が1973年に140ドル、1974年に32ドルに下がったのは、情報の問題ではなく『判断の欠如』である」

つまり、情報があっても、それをどう評価するかが重要だというのがグレアムの持論です。

ろん太
ろん太

結局株価を動かしているのは”人”だから、みんなが間違った評価をすれば株価も間違った価格に推移するって事だね!

インフレ下でも株式は「実物資産への間接投資」として有効

インフレを恐れて株式を避けるのは早計であると、グレアムは言います。

紙幣や債券ではインフレに勝てない局面でも、優良株は防衛的手段になり得る。

株は「土地・建物・機械」などの実物資産に裏打ちされた間接的な保有手段

機関投資家と専門家は市場の安定化に寄与していない

「アメリカン航空」の例を引きながら、グレアムは機関投資家の無自覚な投機行動を厳しく批判。

「財務赤字の年に250倍のPERで株を買い増している。これは明らかに“合理的価格”ではない」

つまり、専門家であっても市場心理に呑まれることはあると断言します。

ろん太
ろん太

株式市場に精通するプロでもすべてが正しいとは限らないんだ!

ポートフォリオ戦略:債券25%・株式25%を“常に”持つべし

グレアムは明確にこう述べています:

  • 債券と株式を最低25%ずつ持ち、残りは市場環境によって調整。
  • S&P500やダウのようなインデックス投資も視野に入れるべき。

これは現代で言う「バランス型資産配分」の基本戦略に通じます。

ろん太
ろん太

リスクヘッジとしてバランスよく投資するのが良いみたいだね!

おわりに:グレアムからの“静かな金言”

「市場の愚かさを利用し、本質価値に基づいて投資する人こそが、真の意味で“賢明な投資家”である」

この言葉こそ、現代のノイズの多い投資環境の中で、静かに光を放つグレアムの遺産です。

ろん太
ろん太

ベンジャミン・グレアムから多くの事を学べたね!
皆も賢明な投資家を目指してゆこう!
読んでくれてありがとう!

おすすめ本
『賢明なる投資家』ベンジャミン・グレアム 著

ウォーレン・バフェットが「これ以上の投資書は存在しない」と絶賛した、すべての投資家のバイブル。
“安全域(Margin of Safety)”という不変の原則を軸に、株式投資の本質を深く学べます。短期的なノイズに惑わされない「本質を見る力」を身につけたい方に必読の一冊です。

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出典

Benjamin Graham (1974). The Future of Common Stocks. Financial Analysts Journal.
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