仕事を投げ出したくなった時に読む――科学が教えてくれた「笑い」と自己決定理論

顔を伏せて「HELP」と書かれたメモ帳を掲げる男性。仕事のストレスや疲労を象徴するイメージ。 メンタル・性格

はじめに:その「もう無理」は、あなたのせいじゃない

朝起きて、「仕事行きたくない」と思う日がある。
帰り道で、「このまま全部投げ出したい」と心がつぶやくことがある。

そんな時、私たちは「自分が弱いからだ」「甘えてるんじゃないか」と自分を責めてしまいがちです。
でも、それって本当にあなたのせいなんでしょうか?

実は、「やる気が出ない」「何もかも投げ出したい」と感じる心の背景には、心理学的なメカニズムがしっかり存在しています。
そして、そんな心を立て直す「科学的な“支え”」も、ちゃんとあるのです。

ろん太
ろん太

誰もがモチベーションが上がらない日ってあると思うんだ!でも実は科学的な対処法もあったりするんだって!

科学が示す「心が折れそうな時」の状態とは

燃え尽き症候群(burnout)は、単なる疲労ではありません。
「何をやっても意味がない」「自分は無力だ」という無力感とともに、感情のシャットダウンが起こります。

こうした状態になる大きな原因のひとつが、“やらされ感”の積み重ねです。

心理学ではこれを「非自律的動機づけ(controlled motivation)」と呼びます。
上司に言われたから、評価のために、怒られないように──そうした外発的な理由で働き続けると、人はじわじわと心を消耗していきます。

ろん太
ろん太

自分が決めた選択じゃなくて、誰かに指示されて”やらされている”という状態だと心が消耗しやすいんだ!

回復の第一歩は「笑ってもいい」と許すこと

じゃあ、どうやって回復すればいいの?

カナダ・オタワ大学の研究者ローラ・サイデル氏は、2024年の修士論文でこう示しました。

「笑い」は、自分自身を取り戻す力になる。

この研究では、“親しみのあるユーモア”を日常的に使う人は、レジリエンス(回復力)も高いことがわかりました。
一方で、自虐や攻撃的な笑いはむしろ逆効果になることも。

つまり、笑いは単なる気休めではなく、「自分を回復させる行為」だったのです。

ろん太
ろん太

“笑っていいんだよ”って言う環境だと、なんだかリラックスできるよね!

自己決定理論で見えてくる、“やる気”の正体

サイデル氏の研究はもう一歩踏み込みます。

「人がストレスに強くなるために必要なのは、“自分で選んでいる感覚”だ」と。

これは、自己決定理論(Self-Determination Theory, SDT)と呼ばれる心理学理論に基づいています。
この理論によれば、人が健康にやる気を持ち続けるためには、次の3つの心理的欲求が満たされる必要があります:

  • 自律性(自分で選べている感覚)
  • 有能感(ちゃんとできているという実感)
  • 関係性(誰かとつながっている感覚)

逆に、これらが奪われた状態で働き続けると、どれだけスキルがあっても心は壊れていきます。

ろん太
ろん太

仕事をする上でこれら3つが欠けていたら危ないかも!?

今日からできる、小さな「自分を取り戻す習慣」

じゃあ、何をすればいいんだろう?

ここでは、サイデル氏の論文やSDTの知見をベースに、今日からできる“小さな回復スイッチ”を紹介します:


1日1回、笑えたことをメモする
→ 誰かのしょうもない言葉、自分の失敗でもOK。「自分が笑った事実」を記録するだけで、心の余白が生まれます。


週に1つ、自分で選んだ予定を入れる
→ 映画でも散歩でもOK。“自分で選んだ”という感覚が、自律性のリズムを取り戻します。


「やらなきゃ」ではなく、「どうしたい?」と自分に聞く
→ すぐに答えが出なくても大丈夫。自分と対話することが、自律性を回復させる第一歩です。

ろん太
ろん太

小さな自分への気遣いが心を取り戻すきっかけになったりするよ!

おわりに:「やめる」のではなく、「戻る」だけ

仕事を投げ出したい日、あなたの中で「頑張りたくない自分」と「それでも何かしたい自分」が葛藤しているかもしれません。

でも、そのどちらもあなた自身です。
無理に奮い立たせる必要はありません。
まずは、“自分を少し笑わせてあげる”ことから始めていいのです。

科学はそれを、回復の第一歩だと教えてくれています。

ろん太
ろん太

自分が少し「笑える」選択をしてみよう!それってあなたがリラックスできて嬉しい選択でもあると思うんだ!
皆も心地よい人生と仕事の環境を作っていこう!
読んでくれてありがとう!

参考文献

Seidel, L. (2024). Dare to Laugh? Resilience through a Self-Determination Perspective. Master’s Thesis, University of Ottawa.
論文PDFリンク

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