妄想が現実を侵食する──覚醒剤が壊す心と行動

注射器や薬物が散乱する机の上で、覚醒剤を手にした人物の手元 依存・中毒系

「万能感」の代償に、人格が壊れていく

覚醒剤、特に日本で乱用されているメタンフェタミンは、一時的に気分を高揚させ、疲れを忘れさせてくれる。まるで“万能の薬”のように感じるかもしれない。しかしその効果は幻想にすぎない。繰り返し使用することで脳はじわじわと壊れ、「妄想と幻覚の世界」に取り込まれていく。

そして、一度壊れた現実感覚は、もう元には戻らないかもしれない。

ろん太
ろん太

覚醒剤が何故「ダメ。ゼッタイ。」と言われるのか研究論文をもとに解説するよ!


地獄の3段階サイクル:覚醒剤依存のリアル

覚醒剤依存の進行には特徴的な「3相サイクル」がある。最初はハイテンションと過活動。次に極端な虚脱。そして再び覚醒剤を渇望する。これが繰り返され、次第に行動も人格も変質していく。

第一相:異常なハイと強迫行動

  • 一日中掃除を続ける
  • 電化製品を分解して直そうとする
  • ゲームや性行動への異常な没頭

第二相:“つぶれ”と呼ばれる虚脱状態

  • 食事もせず何日も眠り続ける
  • まったく何もやる気が出ない

第三相:渇望・暴力・再使用

  • イライラしながら金をせびる
  • 家族に暴言・暴力を振るう
  • 覚醒剤が手に入ると第一相へ逆戻り

このループが続くうち、人格そのものが変化していく。「怒りっぽい」「無気力」「猜疑心が強い」──かつてのその人とは違う“別の人間”になってしまう。

ろん太
ろん太

覚醒剤を使用すると急激に人格が変化しちゃうんだ!

覚醒剤使用者の行動サイクルと妄想型精神症状を描いたイラスト図。ハイ状態、虚脱、薬物渇望の3相と、監視・浮気・盗聴などの妄想を示すチェックリストが含まれる。
覚醒剤依存は“3つの地獄”を繰り返し、やがて現実と妄想の境界を失わせる。

被害妄想と異常行動──“壊れた現実”に生きる人たち

覚醒剤使用者の中には「幻覚妄想状態」に陥る者も少なくない。以下のような妄想や行動は、覚醒剤精神病の典型例だ。

  • 「盗聴されている」「監視されている」という被害妄想
  • 天井裏に誰かがいると信じて破壊行動に出る
  • テレビや電話を分解し、隠しカメラを探す
  • 「妻が浮気している」と思い込み、暴力に及ぶ

本人は完全に“現実”だと思っている。それが覚醒剤の怖さだ。

ろん太
ろん太

妄想を頑なに現実だと信じ込んでしまうのは覚醒剤の恐ろしいところだね!


「やめたのに再発」──脳に蓄積される“準備性”の罠

覚醒剤による精神障害は、治療を受けても再発しやすい。

一度でも精神病を発症すると、脳は“再発の準備が整った状態”になる。これを「準備性」という。少量の再使用、アルコール、ストレス──それだけで再び幻覚や妄想が戻ってきてしまう。

さらに再発を重ねるたびに「治るまでの時間」も「症状の重さ」も悪化していく。そして最後には、覚醒剤を使っていなくても突然妄想が蘇る“フラッシュバック”に悩まされるようになる。

ろん太
ろん太

一度でも覚醒剤を使ってしまうと精神病が再発しやすい体になってしまうんだ!


「あの人、壊れてしまった」──覚醒剤と人格変化

「昔は優しかったのに…」
「普通に働いてた人なのに…」

そんな人が突然、暴力的になり、意味不明なことを言い出し、周囲と断絶していくことがある。背景にあるのは「覚醒剤が脳に与える変化」だ。人格の崩壊は薬の副作用ではなく、薬物依存という“病”そのものなのだ。

ろん太
ろん太

覚醒剤は脳を根本的に変化させてしまうから、なかなか依存が治らないんだ!


いま、私たちにできること

妄想を語る人は、脳が壊れてしまった“被害者”かもしれない。

覚醒剤の本当の恐ろしさは、「やめたくてもやめられない」「やめても元に戻れない」というところにある。
そしてそれは、かつて普通だった人の人生をも、静かに破壊していく。

私たちはその変化を、単なる“異常者”の言動として片付けてはいけない。そこには、脳が発する悲鳴とSOSがあるのかもしれない。

ろん太
ろん太

薬物に手を出してしまう前に助けられる人もいると思うんだ!
みんなでどうしたら救えるか考えよう!


参考論文

小沼杏坪(2000)『覚せい剤乱用の害』
IRYO(医療), Vol.54(5), pp.220–223​
論文PDF

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