「“可愛くないと生きづらい”社会」――整形を決意する心理的圧力とは

手術用マーカーで顔にラインを引かれる若い女性の写真と、「可愛くないと認められない」というメッセージが重なるビジュアル。 外見コンプレックス

「可愛くなきゃ、生きていけない気がする」。
そう口にする10代・20代の女性が今、少なくない。SNSを中心に広がる“理想の顔”、加工アプリで整えられた「完璧な他人」との比較、そしてスクロールするたびに押し寄せる「自分の顔への違和感」。その違和感の行きつく先として、整形という選択肢を選ぶ若者たちが増えている。だがそれは本当に“自分のため”なのか? それとも“社会が強いる美しさ”への服従なのか。

ろん太
ろん太

今回は、他人と比べて自分の顔に自信を無くしてしまい、整形を検討する人が増えている現状を研究論文をもとに見ていくよ!

SNSがつくりだす“整った顔”の理想

InstagramやTikTokには、毎日膨大な数の「理想的な顔」がアップされる。フィルターを通した美しい肌、黄金比に近づけられた輪郭、目を大きく見せる加工。これらがアルゴリズムによって拡散され、私たちの目に触れる機会は増え続けている。

とくに若年女性において、「自分の素顔」がSNS上の他者と比べられる中で、「もっと可愛くなければ」というプレッシャーが強まっている。“普通の顔”では愛されないという無言の空気が、整形への心理的圧力となる。

ろん太
ろん太

SNSを見ると、可愛い人や綺麗な人で溢れかえっている!それが自分自身へのプレッシャーとなってしまっているんだね!

13,000人の調査が示した「整形への意識」

2024年に発表された大規模レビュー論文(Mironica et al.)によると、調査対象となった13,731人のうち、70%の若年女性が自分の外見に不満を持ち、整形を真剣に考えたことがあると回答している。

この不満の背景には、SNS上での「見た目比較」や「他人からの評価」への過剰な意識があるとされる。さらに、セルフィーの撮影・編集行動も「自分の顔を批判的に見る癖」を強め、整形への関心を加速させる。

ろん太
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研究論文によると70%の人が自分の顔に不満を持ち、整形を真剣に考えたことがあるんだ!

「自然な顔では勝負できない」若い女性のリアルな声

「“整形してる子”と並ぶと、もう戦えないって思う」
「好きな人に好かれるには、まず“インスタ映えする顔”じゃなきゃ」
――20代女性・大学生

彼女たちにとって、“整形”は特別な行為ではなく、むしろ「対等になるための最低ライン」になっている。整形したいという願望は、自分をより好きになるためというよりも、「他人と比較される世界で劣らないため」に生まれている。

ろん太
ろん太

整形することがむしろ”対等の最低ライン”になっているなんて、相当顔に対するハードルが上がっているという事だよね!

若い女性が悩む姿とともに、整形を決断させる5つの心理的圧力を示した図。中心に「整形という選択」があり、周囲にSNSでの外見比較・承認欲求・自己肯定感の低下などの要因が配置されている。
SNSや承認欲求、自己肯定感の低下など、若い女性が整形を考える背景にある心理的圧力を視覚化した図解。

心理的圧力の正体:「見た目不安」と「承認欲求」

論文では、“social appearance anxiety(外見評価への不安)”という言葉が繰り返し使われる。他人の目線や評価に敏感になりすぎ、自分の外見に過剰な焦りを感じる状態だ。

さらに、SNSでは「いいね」や「フォロワー数」が承認の尺度となる中で、整形が「より良い自分の表現方法」になってしまう。整形は、単なる美容ではなく、社会的に“評価される存在になるためのツール”になっているとも言える。

ろん太
ろん太

今や”整形をすること”で認められるという風潮までできてきているんだ!

整形は“自由”か、“強制”か

多くの若者が「自分の意志で選んだ」と語る整形。しかし、その意志が社会やSNSが生み出す“あるべき顔”への同調圧力に基づいているならば、それは本当に自由な選択だろうか?

整形をすること自体を否定するのではない。だが、その前に問うべきなのは「なぜ、それを選ばなければいけないと思ったのか」という背景である。

ろん太
ろん太

整形をするのは良いと思うけど、整形をしなきゃ可愛くなれない、認められないというのは違うと思うんだ!
誰だって可愛くなりたい!可愛くなれる方法は整形以外でも沢山あるんだ!

多様な美しさを肯定する社会に向けて

「可愛い子が得をする」社会は昔から存在した。だが、今はその“可愛い”の基準がより厳しく、統一され、SNSを通じてあらゆる人に突きつけられている。

この風潮を少しでも変えるためには、多様な顔、年齢、肌、体型を肯定的に捉える社会のまなざしが必要だ。整形を選ぶ自由と同じくらい、整形しない選択もリスペクトされる社会であるべきだろう。

ろん太
ろん太

赤ちゃんって整形してなくても可愛いよね!
動物って整形してなくても可愛いよね!
きっとその中に可愛くなれるヒントがあると思うんだ!
みんなも一緒に心も幸せな可愛いを目指そう!

参考文献

Mironica, A., Popescu, C. A., George, D., Tegzeșiu, A. M., & Gherman, C. D. (2024). Social Media Influence on Body Image and Cosmetic Surgery Considerations: A Systematic Review. Cureus, 16(7), e65626.
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