目標は「立て方」で結果が変わる?
年始に「今年こそ英語を頑張る」「もっと働き方を良くする」といった目標を立てたものの、春にはすっかり忘れていた――そんな経験、誰にでもあるはずです。
実は、目標が達成されるかどうかは、「内容」よりも「立て方」に大きく左右されることが心理学で明らかになっています。
中でも注目されているのが、SMARTゴールと呼ばれる目標設定の技術。今回はこのSMARTゴールが、実際にどれだけ効果があるのかを検証した心理学の研究をご紹介します。

SMARTゴールっていう目標の立て方があるんだって!
SMARTゴールとは?5つの条件で“曖昧な目標”を脱却
SMARTゴールとは、以下の5つの要素を含むことで、より実行可能な目標を設計するフレームワークです:
項目 | 内容 | 具体例(仕事) |
---|---|---|
S | Specific(具体的) | 「成果を出す」→「新規顧客を3社獲得する」 |
M | Measurable(測定可能) | 進捗が数字で見えるようにする |
A | Achievable(達成可能) | 実現可能で、自信を持てる範囲に設定 |
R | Relevant(関連性) | 自分の価値観や役割に合致している |
T | Time-bound(期限付き) | 期限を明確に設ける(例:3ヶ月以内) |
このモデルは企業の人事評価制度、教育現場、健康指導など幅広く使われており、「ただの目標」から「実行可能な計画」へと転換させる力があります。

達成可能な目標を設定することが重要なんだね!

論文紹介:SMARTゴールは本当に効果的なのか?
2022年に心理学者Bahramiらが発表した研究では、SMARTゴールが目標達成率や幸福感にどのような影響を与えるかを科学的に検証しました。
📚 概要:
対象: 大学生・大学院生120名
手法: ランダムに2グループに分け、一方にはSMARTゴールを、もう一方には曖昧な一般目標を設定してもらう
評価指標:
・実際に達成できたか(Goal Attainment)
・自律性・有能感・つながりといった心理的充足感(Need Satisfaction)
・幸福感ややる気などのポジティブ感情(Positive Affect)
主な結果:SMARTは“達成感と幸福”を両立させる
指標 | SMARTゴール群の変化 |
---|---|
🎯 目標達成率 | 有意に高く、実行継続力が強かった |
🔋 自律性・有能感 | 「自分でできた感」が強まり充実 |
😊 ポジティブ感情 | 幸福感・やる気・前向きさが上昇 |
SMART形式の目標は、ただの「頑張る」よりも行動に移しやすく、結果的に「できた」という達成体験を生み出しやすいのです。そしてそれが、やる気や幸福感を高めることにもつながっていくのです。

目標を設定し、達成する成功プロセスを積み重ねていくんだね!
これはすごくモチベーションがあがるよ!
日常に活かす:今日からできるSMARTのコツ
以下は、あなた自身がSMARTゴールを日常に取り入れるためのヒントです:
✍️ 大きな目標を「SMART形式」に書き換える
例:「英語を話せるようになる」→「3ヶ月以内にオンライン英会話で20回レッスンを受ける」
🗓️ 毎週のToDoをSMART化
期限・量・達成基準を明確にして書くだけで行動が変わる
🧑🤝🧑 チームで共有する目標もSMARTで
認識ズレを防ぎ、進捗のフィードバックもしやすくなる

チームで目標を達成するのにも活用できるんだね!
まとめ:曖昧な意志ではなく、具体的な構造を
目標達成において大切なのは、意思の強さではなく、「設計のうまさ」です。
曖昧な目標はいつの間にか忘れられてしまいますが、SMARTに整えられた目標は、脳と行動を導き、達成感と幸福感の両方をもたらしてくれるのです。

みんなもSMARTゴールで目標設定して、達成感と幸福感を手に入れよう!
読んでくれてありがとう!
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参考文献
Bahrami, Z., et al. (2022). Applying SMART Goal Intervention Leads to Greater Goal Attainment, Need Satisfaction and Positive Affect. International Journal of Mental Health.
論文リンク
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