「もう諦めよう」と思っても、なぜか頭から離れない――。
そんな片思いの苦しさを経験したことはありませんか?
一方的に好きな気持ちを抱えていると、「自分って未練がましいのかな」「依存してるだけ?」と自己嫌悪に陥る人も多いかもしれません。
でも実は、その止められない恋心には、れっきとした“脳の仕組み”が関係していると、最新の科学研究が示しています。
今回の記事では、「恋はなぜこんなにもやめられないのか?」という疑問に対して、脳科学の視点から答えます。

片思いって苦しいのに好きな気持ちが止まらないよね!それは脳の仕組みだったって研究論文で発表されたんだ!
恋は「感情」ではなく「衝動」に近い
私たちはつい、恋を「嬉しい」「切ない」といった感情で捉えがちです。
けれど科学的には、恋は“ドライブ(動機付け)”に近い現象だとされています。
空腹や渇きと同じように、「好きな人に近づきたい」「つながりたい」という欲求が、脳の深部から湧いてくるもの。
だからこそ、「やめよう」と理性で思っても、衝動は簡単には消せないのです。

もはや”ご飯食べたい”とかそのレベルの欲求と変わらないんだ!
脳内の“報酬回路”が恋を強化する
片思いの相手を思い浮かべるたび、脳はドーパミンを放出し、快楽を学習していきます。
このとき活性化するのは、尾状核や腹側被蓋野(VTA)といった、依存症とも関わる部位です。
つまり、片思いは脳にとって“ごほうび”。
理屈では「見込みがない恋」と思っても、脳は快楽としてインプットしてしまうため、何度も相手を求める行動が繰り返されてしまうのです。

科学的には依存症と同じ部分が刺激されているんだ!
記憶と注意が“恋フィルター”にかかる
恋をしていると、ちょっとした出来事や言葉が、いつまでも記憶に残ったりしませんか?
これは、扁桃体(感情の記憶を強める)と海馬(記憶全般を司る)の働きによるもの。
片思い中は、好きな相手に関する記憶だけが異常に強化されます。
同時に、注意の集中も偏るようになります。
他のことに意識が向きにくくなるのは、脳が“生存に関わる重要情報”として恋愛対象に注意を向けているから。これはむしろ正常な反応なのです。

一度恋をしてしまうと、その人の事ばかり考えてしまうのは、脳の機能なんだ!

片思いでも、脳は“本気”で恋している
「両思いじゃないなら、それって恋なの?」と感じるかもしれません。
しかし研究では、片思い中も脳は両思いと同じくらい真剣に反応していることが分かっています。
ドーパミン報酬系、記憶系、感情系がすべて活発に働いているのです。
この反応は、芸能人やアニメキャラへの“片思い”にも見られ、いわゆるパラソーシャル・ラブ(片方向的な恋愛感情)も本物の恋愛体験として脳が処理しています。

人間は生存のために恋に真剣になるように進化してきたんだね!
「恋をやめる薬」は存在しない
片思いの苦しみを解消する薬があれば…と思う人もいるかもしれません。
けれど現時点では、恋心を消す薬は現実的ではありません。
なぜなら、恋愛には脳内の複数の部位とホルモンが複雑に関与しており、単一の“恋ホルモン”など存在しないからです。
加えて、それらのホルモンは他の重要な機能にも関わっているため、薬で調整するのは非常にリスキーです。

恋の苦しみを薬で解消しようっていうのは危ないんだ!
やめられない恋に、どう向き合えばいい?
「片思いは脳のせい」と分かっても、現実には苦しいまま…。
そんな時にできる“科学的に意味のある行動”をいくつか紹介します。
1. 「思い出しやすい状況」を減らす
恋が続くのは、脳が“何度も相手を思い出す”ことで強化されていくからです。
そのため、相手のSNSを見ない・共通の場から少し離れるといった行動が、少しずつ恋の「報酬回路」を弱める助けになります。
2. 別の“快感”で上書きする
ドーパミンは恋だけでなく、運動・創作・新しい挑戦などでも分泌されます。
恋の回路を直接止められなくても、他の報酬体験で“脳の使い方”を変えることは可能です。
3. 感情を言語化する(書く・話す)
感情をうまく言葉にできると、前頭前野(理性の司令塔)が活性化し、衝動を調整しやすくなると言われています。
誰かに話す、日記に書く、といったシンプルな行動でも、脳の整理には効果があります。
4. 自分を責めない視点を持つ
「どうして諦められないんだろう」と自己否定しそうになったら、これは脳の自然な反応なんだと思い出してください。
無理に感情を抑えようとせず、“本気で人を好きになれた自分”を認める視点が、回復の土台になります。

もし、本当に辞めたい恋があるなら、少しずつでいい、少しずつ変えていける事があるんだ!
あなたが苦しいのは「弱いから」ではない
片思いをやめられないのは、あなたの意志が弱いからではありません。
それは、人間の脳がそういうふうにできているからです。
恋は、ただの感情以上に、本能的な欲求や学習と深く関わる現象。
だからこそ、一方的な恋でも、こんなにも強く、長く心に残るのです。
「なぜ私はこんなに苦しいんだろう」と悩んでいる人にこそ知ってほしい。
恋に苦しむあなたの脳は、それだけ“本気で恋をしている”という証拠なのです。

恋をして苦しいって感じるかも知れないけど、その苦しみは悪い事じゃないんだ!
むしろ正常に脳が活動している証拠!自分を責めなくていいんだ!
脳の自然な反応だと思って受け入れる事で、新たな扉が開いていくよ!
出典論文
Langeslag, S.J.E. (2024). Refuting Six Misconceptions about Romantic Love. Behavioral Sciences, 14(5), 383.
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